Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

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1945年対日戦線編 [2]

#720  Smertniki (1945.8.13)               
#730  The Deadly Line (1945.8.13)    
#739  Forging Spetsnaz (1945.8.13)      

#720 Smertniki (1945.8.13)
#730  The Deadly Line (1945.8.13)
#739  Forging Spetsnaz (1945.8.13)

今回取り上げるシナリオは終戦間際に日本とソ連が戦った戦闘です。

これは一般的には「ソ連対日参戦」と言われているもので、1945年8月9日から1945年9月5日までとなっています。

太平洋での米軍とはまた別の話なので、案外知らない方も多いのではないでしょうか。


「ソ連対日参戦」はざっくりと言うと、日本が統治していた満州~北朝鮮をソ連軍が終戦間際に侵攻するというものです。

ソ連と日本との間には1941年に交わした「日ソ中立条約」を結んでいました。

この条約は互いに奇襲攻撃は行わないという休戦協定であり、5年満期の4年目に破棄を通告すれば破棄ができることになっていました。

この休戦協定があったため日本軍は中国・東南アジア・太平洋に集中することができ、ソ連はドイツに集中することができました。

やがてドイツは降伏、西側連合国はヤルタ会談でスターリンに参戦を打診しました。

その後、スターリンは対日参戦の見返りとして、満州、北朝鮮、千島列島、樺太を受け取ること、また極秘に北海道の一部さえも狙っていたと言われます。

1945年8月8日、突如ソ連は条約を破棄、9日、満州・北朝鮮・樺太へと侵攻します。

当時、満州の日本軍もソ連軍は必ず侵攻してくるだろうと見ていましたが、それは1946年春だろうというのが日本軍の判断でした。

ソ連側は4年間のドイツとの戦いで多くの将兵を消耗しており、攻撃予定を8月11日としていましたが、アメリカによる2発の原爆がソ連軍を急がせる結果になりました。


満州や朝鮮半島でソ連と戦った日本陸軍は「関東軍」と呼ばれました。

(日本の関東地方の軍ではありません(汗 )

この関東軍が守っていた満州は日露戦争で日本がロシアから獲得した土地です。

そこに日本は鉄道を引きました。

これが有名な満州鉄道です。 



当初、関東軍はこの鉄道の守備部隊でしたが、1932年に満州国が中国から独立、日本の傀儡政権となり関東軍は満州国を防衛する軍となります。

そして満州の首都「新京」に司令部をおきました。


動画を見てあたしも驚きました。

当時の日本の都市作りってすごいですね。

(「新京」は現在は「長春市」と改名され中華人民共和国吉林省に位置します)

関東軍司令部跡は現在も大切に保存されています。

壊したりはしませんw


これは当時の関東軍司令部。

完全に愛知県庁舎ですがなwww


(愛知県庁舎)

両軍の戦力についてです。

1945年8月当時の関東軍の戦力は歩兵31個師団と12個の独立師団で、およそ78万人。(資料により数は異なります)

このうち25万人は春から夏にかけて「根こそぎ動員」で満州や朝鮮にいる在留邦人の男性を動員したもので、数は揃えたものの実際にはドイツの「国民擲弾兵」のように練度・士気などは劣っていました。

戦車は200輌、航空機は200機。

日本軍にはこの他に傀儡政権だった満州からの満州国軍が約40万人ほどいたので全体では120万人。

一方、ソ連軍も老兵や少年兵までも動員し89師団150万人がいましたが、兵比率は日本の1.15倍とほぼ互角でした。

しかし砲や戦車に関しては完全にソ連軍が優位であり、戦車・自走砲は約5500輌、航空機は約3400機と歴然の差がありました。

しかもソ連軍は東部戦線でドイツと厳しい戦いを勝利した戦術があり、日本がノモンハンで戦ったソ連軍とは中身が全く違うソ連軍でした。

1945年8月9日、ソ連軍は「八月の嵐」作戦を発動。



中国語で申し訳ないw

9日、ソ連軍の侵攻が始まり大本営から命令が下りたのが10日朝。

首都新京では在留邦人の引き上げが一斉に始まり鉄道は大混乱に陥ります。

満州地域にいた在留邦人150万人。

余談ですが満州出身の著名人は多くいます。

関東軍は「第一方面軍」は満州東部、「第三方面軍」と第44軍は満州南部、第4軍は満州北部。

最前線では既に戦闘が始まっていましたが、第三方面軍の司令官「後宮淳大将」は少しでも在留邦人が避難する時間を稼がなければならない、そのためにソ連軍の進撃に対し玉砕攻撃をかけるとしましたが、結局、部下らに説き伏せられました。

軍部の逃げ足はすさまじいほど速く、新京の関東軍総司令部はあっという間にもぬけの殻になりました。

しかし最前線ではソ連軍との熾烈な戦いが繰り広げられました。

関東軍はソ連との国境に14の要塞を建設してあり、この14の要塞はマジノ線式の国境要塞で地下に潜れるようになっています。

これらの14の要塞は全てソ連軍の進撃に備えて作られており、単体の防御拠点というのではなく、ソ連軍をどう撃退するかを考えて設置されていました。

特に満州東部の第一方面軍には「虎頭要塞」「東寧要塞」「綏芬河(すいふんが)要塞」という攻撃拠点として作られた要塞があり、虎頭要塞には41センチ砲が配備されていました。



虎頭要塞の41センチ砲は有名です。

(今回は要塞については取り上げませでしたが、個人的には関心度は高いです)

関東軍は戦後、「開拓殖民を捨てて逃げ出した」と非難され続けたそうですが、それは軍部のお偉いさんの話。

最前線にいた部隊は圧倒的劣勢の中で、孤軍奮闘、最後は玉砕戦をして全滅していきました。

満州西部ではソ連軍は機動力を活かし三日間で450キロを踏破しましたが、満州東部では関東軍による激しい抵抗があり、ソ連軍の出した死傷者のほとんどは東部での戦いでした。

ソ連軍は20日までの11日間で戦死者1万2000人、負傷者2万5000人を出しており、決して楽な戦いではなかったと言われています。

日本軍は持久戦に持ち込み反撃に出るかというところで15日、玉音放送を迎えます。

ここで降伏する部隊もあれば、降伏命令に従わない部隊、玉音放送を疑った部隊などは局所的に戦闘を続け8月下旬まで続きました。

日本軍の戦死者および死傷者は資料により大きく差がありますが合わせて10万人ほど、そして捕虜としてシベリアに抑留されたのが59万人となっています。

それではシナリオの方を見ていきましょう。

今回のシナリオは全てボードゲーム「ASL」からの移植となっています。

ただし元ネタをそのままという訳ではなく、参考にして作ったという感じです。

シナリオ#720「Smertniki」と#730「The Deadly Line」は、「牡丹江の戦い」を描いたもの。

シナリオ#739「Forging Spetsnaz」は北朝鮮清津市での戦い。

3つとも日付が8月13日になっていますが、これはちょっと怪しいです。

どのシナリオもソ連軍プレイが推奨となっています。

まずは#720「Smertniki」

これは牡丹江市北部の牡丹江にかかる鉄道橋での戦いです。

ソ連軍は牡丹江市を北と東から攻撃、関東軍は牡丹江市の周辺でソ連軍を待ち伏せました。

牡丹江の戦いで日本軍はソ連軍に対して多くの損害を与えましたが、ソ連軍は16日に牡丹江市を占領します。

牡丹江の戦いで日本軍は25000名の死傷者を出したと言われます。

ソ連軍は10000名の死傷者と戦車600輌の損失。

これはソ連軍が満州で出した死傷者数の半分にあたります。

それにしてもわずか一週間で戦車600輌の損失って、すごいです。

この戦いで日本兵の狂信的な姿をソ連兵は目の当たりにしました。

爆弾を体に巻き付けてそのまま戦車に突撃する自爆攻撃をソ連軍の戦車兵はどうとらえたのでしょう。

バンザイと叫びながら玉砕覚悟で突撃するバンザイ突撃がこの牡丹江の戦いでも行われました。

米兵が見た神風特攻隊やバンザイ突撃に関しては多くの証言がありますが、ソ連兵が見た感じた自爆攻撃やバンザイ突撃はどうだったのでしょう。

全くと言っていいほど、ソ連側の証言は伝わっていないのが残念です。

さてこのシナリオは、牡丹江にかかる鉄道橋ということで、いつものようにグーグルマップで探しましたが、よく分かりませんでした。

ソ連軍はなんとT34/76を20輌(2個中隊)とSU-76が6輌が登場します。

ソ連軍は鉄道橋を渡らなければいけないのですが、この橋の周辺には日本軍による地雷原やバリケードが敷設されています。

関東軍は第5軍の第135師団です。

この135師団の中の歩兵第370連隊が今回のシナリオに登場する部隊です。

ただしブリーフィングには「Takikawa」中佐とありますが、正確には「多喜弘」中佐です。

珍しいユニットが登場するので紹介しておきます。

「booby trap」

敵がこのへクスに入ると自動的に爆発する爆弾。

しかし必ず爆発するものではなく運次第です。

ただしそれほど殺傷能力はなく、手榴弾の2倍ぐらいです。

除去は不可能。

移動も不可能。

敵からは見えませんw

もう一つは「Demolition chrg」

これは「解体用爆薬」とでも訳しますかw

とにかく爆発が凄まじい。

殺傷能力96って(汗

これはプレーヤーが「F」ボタンを押すと爆発します。

しかしこのシナリオではとんでもないところに設置されています。

(理由は考えてください)

ソ連軍には工兵隊がいますので、工兵隊に地雷や鉄条網を除去させます。

その他にもタンクデサントがようさんいますが、全然役に立ちません。

この鉄道橋を渡るのにかなり難儀します。

煙幕を使ったほうがいいですね。


初見プレイ13ターン、ようやく橋を渡れたと思ったが・・

ちなみに河は「Deep Water」なので車輌は渡れませんが、歩兵はボートで渡れます。

ゲームは33ターンですが、中盤20ターン過ぎてもソ連軍は河を渡れないでしょう。

このシナリオは後半が山場です。

橋を渡り日本軍陣地をどこまで突破できるか。

全てのVHが50ポイントしかないので、できるだけ多くを確保しなければ引き分けになる確率が高くソ連軍には難易度高めです。

これは史実を反映しているからだと思います。

この戦いでソ連軍の第257戦車旅団は、保有戦車65輌から7輌にまで激減してしまうほど日本軍の肉弾攻撃がすさまじかったのです。

今回は日本軍でもプレイしてみました。

さすがAI、地雷の場所をご存じですw

日本軍には「Suicide AT 」(対戦車自爆兵)という部隊がいます。


この「Lunge Mine」というのは「刺突爆雷」という対戦車武器です。

日本軍でプレイしてみましたが、ソ連軍が橋近辺で大集結して、まるで蜜に群がるカブトムシになって何もしなくなりますが、それでも橋を渡ってきます。

一切、臨機射撃をしないというのも手なのかもしれません。

次のシナリオ#730「The Deadly Line」

今回の3つのシナリオの中で一番お薦めのシナリオです。

これも牡丹江市を巡る戦いです。

元ネタのデザイナーが日本人なので、どこかに戦記があると思われますが、あたくしには探すことができませんでした。

登場する日本軍は猪俣大隊とありますが、よく分かりません。

ソ連軍はT34/85が20輌(汗


VHは一つ250点と高い

始まる前からT34の残骸が・・


贅沢とはこのこと

このシナリオでは日本軍に戦車や対戦車砲、そして鹵獲したT34/85が登場するというサプライズ。

日本軍でT34/85と対決なんて、夢みたいですよね。

ソ連軍でプレイしてみて、「日本軍すげー」となりました。

本当にこんな戦闘があったのか、もう少し世に広まってもよかった気がします。

(シャーマン戦車相手の戦記よりも何倍も面白い)

このシナリオはどうしても日本軍でやりたくなりますよね!

いやいや日本軍でやるべきですw

このシナリオに関しては中級第18弾で取り上げています。

そして最後は#739「Forging Spetsnaz」

これは上陸作戦です。

シナリオの舞台は清津市は、現在は北朝鮮の港湾都市で、当時はここに日本製鐵がありました。

ここにソ連軍の精鋭部隊である海軍上陸部隊が上陸をします。

36ターンは短いのか長いのか(汗

日本軍には「根こそぎ動員」で動員した「Militia Squad」(民兵)が登場します。

ソ連軍はヨーロッパ戦線と満州での活躍によりソ連最高称号の「ソ連邦英雄」賞を2度受賞した英雄「ヴィクトール・レオノフ」が指揮官です。



ソ連邦英雄

彼は後に誕生する特殊部隊「スペツナズ」の前身である特別偵察部隊を率いています。

「・・・・・・」

やろうかと一瞬思いましたが、この暑さの中、さすがにこの規模の上陸作戦は勘弁つかぁさい。

(アテクシ上陸するの嫌い)