Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

第18弾 #739  The Deadly Line

2020.08.29

約3年ぶりの中級編の更新です。

この3年、あたしは何をやっていたのでしょう(汗

さて今回はシナリオ739番「The Deadly Line」を取り上げます。

少し前にシナリオガイドの方で説明したので、戦闘の背景はそちらをお読みください。

こちらです

ではさっそく見ていきましょう。

プレーヤーは対AIの場合はソ連軍推奨です。

ただしPBEM対戦であれば、どちらでもいいと書かれています。

シナリオデータは、

1945年8月13日

ソ連(Assault)vs 日本(Defend)

28ターン

<1945年のソ連軍>

ソ連軍と日本軍の戦いはノモンハンではありますがそれ以外ではすごく貴重です。

ノモンハンは1939年なので当時のソ連軍の戦車はそれほど強くなく、日本陸軍も善戦しました。

しかし1945年の8月は違います。

ソ連軍は5500輌の戦車・自走砲を準備しました。

さすがにIS-2はありませんが、T34/76、T34/85、SU-76などはものすごい数が揃っていました。

今回のシナリオでもT34/85が20輌も登場します。

なかなかお目にかかれませんよ、20輌って。

これだけで楽勝のようにと思えます。


<47mm速射砲>

日本軍はどのように戦ったのか。

日本軍の大戦後期の対戦車戦を見ていきましょう。

太平洋で米軍のM4シャーマン戦車に対して、日本軍の
九七式中戦車チハの57mm砲や、九五式軽戦車の37mm砲ではまるで歯が立たなかったそうです。

命中してもボールのように跳ね返ったと言われています。

しかしM4シャーマン戦車も日本軍に無敵だった訳ではありませんでした。

日本軍の対戦車砲では一式機動47mm速射砲がシャーマン戦車を最も多く撃破しました。

47mm速射砲は、それまでの37mm砲の代わりとして1942年に正式採用された砲で、後に九七式中戦車チハ改に戦車砲として搭載されました。

シャーマン戦車は前面装甲は厚いですが、側面は車体・砲塔とも全面装甲の半分くらいの厚さです。


M4シャーマン戦車

SPWW2の装甲値では傾斜角も計算に入れているので分かりやすいですね。

日本軍はシャーマン戦車に対しては正面からの攻撃は全く歯が立たないことが分かったため側面か後部に攻撃を集中させました。

これが功を奏し、シャーマン戦車を撃破することができました。


アメリカ軍の戦後の調査によると、一式機動47mm砲は、約1000mの距離で51mmの装甲を貫通したそうです。

(シャーマン戦車の側面装甲は45mm)


一式機動47mm砲のAPカリキュレーターを見ても、側面を貫通できることが分かります。

ではT34/85に対してはどうでしょうか。


T34/85

側面・後部であれば500m(10へクス)ぐらいまでならギリギリ貫通できそうです。


<その他の対戦車砲>

それでは他の対戦車砲を見ていきましょう。

(今回は37mm口径の砲は省略します)

「日本軍に47mm砲以外にありましたっけ?」

とお嘆きの貴兄もおられることでしょう。

「ありやした」

「九〇式機動式野砲」(75mm Type90 FG)
「八八式7センチ野戦高射砲」(75mm Type88)

という2門の砲を紹介します。

「九〇式野砲」は英語では「FG」(Field Gun)なので野砲です。

この砲は1932年に正式採用され、移動させやすいように車輪をゴムタイヤに改造したものが機動式です。

本来は野砲(榴弾砲)として作られたのですが、1944年ごろからアメリカ軍のM3スチュアートやM4シャーマン戦車に対しても有効であることが分かり、フィリピンや硫黄島、沖縄などで対戦車砲として使用されました。

この九〇式野砲はほとんどが満州に配置されていたそうです。

ゲームに登場するのは3タイプあります。




「HE弾(榴弾)のみ積載」
「HE弾とSABOT(APCR弾)積載」
「HE弾とAP弾(徹甲弾)積載」

これを見ても分かるように、初めは野砲のみとして使用され、大戦後期になると対戦車砲としても使用されることになっていますね。


貫通力も47mm速射砲よりも高いです。

もう一つの「八八式7センチ野戦高射砲」

7センチというのが正式名称ですが実際は75mmです。


この砲は靖国神社の游就館に展示されていますので本物を見ることができます。

1928年に正式採用され、すぐに実践投入され大戦では日本軍の主力高射砲として活躍しました。

当初は高射砲としての実用でしたが、ノモンハンの戦いや中国との戦いではソ連軍や中国軍の戦車に対し水平射撃による対戦車砲として使われており、これは1940年にロンメル将軍が88mm高射砲を対戦車砲としたよりも早い実用でした。

約2000門と多く生産されていますが、本土防衛用にも設置されており、戦場でどれくらいの数があったのかは分かりません。

ただ満州にはある程度の数が揃っていたと思われ、下の動画にも満州での高射砲が舞台となっています。


ではこの砲がどれくらいの威力があったのか見ていきます。

AP弾のみの使用で、「九〇式機動式野砲」よりも数値は「1」高いだけですが、「Fire Control」値(FC値)が大きく異なります。


「Fire Control」は移動中の目標物への命中率を現す数値で、高いほど命中率が上がります。

日本軍の火器はほとんどがこの数値が低く、「九〇式機動式野砲」はFC値が「0」となっていますが、「八八式7センチ高射砲」は「6」で、これは高射砲のため高い数値なのでしょう。

FC値「6」はドイツ軍の7.5cm Pak40と同じ値です。

(ちなみに8.8cm Flak18は「8」です)

太平洋の戦線では75mmの対戦車砲はレアですが、満州にはやはり一定の数があったのでしょう、このシナリオにはたくさん登場します。


<その他の対戦車武器>


これも非常にレアな兵器です。

「試製四式7センチ噴進砲」または「ロタ砲」

日本が開発したバズーカ砲のようなロケットランチャーです。

現物はアメリカのスミソミアン博物館に唯一所蔵されています。

幻とも言われていますが一応、3500門、弾薬は48000発が製造されています。

この兵器に関する実戦での投入・戦果は公式には伝わっていません。

このような日本軍の試製と言われている兵器ですが、満州には送られて実戦で使用されているものがいくつかあり、太平洋戦線では見つからなかったものでも満州で使われている可能性は大きいです。

ただしネット上での検索には限界があり、この兵器が満州で使われたかどうかは確証が取れませんでした。

このシナリオに登場するので、一定の数は満州にはあったのでしょう。

実際には74mm口径で、HEAT弾のみ使用できます。

射程は最大で1000mmあったようですが、有効射程距離は200mで、100mの距離での命中率は60%だったそうです。

しかしゲーム内では射程は10へクスとなっていますのでご愛嬌でしょう。

HEAT弾は射程に関係なくダメージが入ります。

ただ使ってみると、なかなか命中しません。

それではシナリオの方を見ていきましょう(ようやく)


<T34/85 対 八八式7センチ高射砲>

まずはソ連軍でプレイしてみます。

ソ連軍にはT34/85が20輌とT34/85の火炎放射戦車が3輌登場します。

また10輌のT34/76は始めから撃破された状態として戦力の中に入っています。

VHは全部で21個。

この画像の外にもあります。


ソ連軍の戦車部隊のうち、こちらの部隊は道路に沿ってそのまま進み、北から日本軍を攻撃します。

こちらの部隊は道路に沿って直進させ、西から日本軍を攻撃します。

全ての戦車にはタンクデサント部隊が搭乗しています。

日本軍には鹵獲したT34/85が1輌だけ出てきますが、これが一番強力w



13ターンの状況。

西の戦車部隊はほぼ全滅しますたwww

ひどすぎる。

南から側面をガンガン狙い撃ちされます。

どうしようもありませんって。


↑北の戦車部隊は移動不能を含めて3輌の損失となっていますが、こちらはまだ戦力となっています。

日本軍は全て塹壕化していますので、撃たれない限り見つけられません。

多少の損害は仕方がないです。

日本軍の75mm高射砲の威力ですが側面から命中すると撃破されますが、正面からは撃破されるより足回りをやられて移動不能になることが結構あります。

日本軍にとっては移動不能でも十分な成果なので、これもアリですね。


17ターンの様子

西から1輌、北から5輌が村へ侵入。

日本軍は「民兵」(Militia Squad)が奮闘しています。

ゲームはあと10ターン。

すでにT34/85のHE弾はほとんどの車輌が撃ち尽くしているので、あとは機銃で応戦するのみ。

そしてVHのほとんどが建物へクスにあるため、戦車ではVHを取りにいけません(建物に突っ込むと移動不能になります)

↓20ターンの様子



なんとかMV

最後の抵抗を見せたのか、九五式ハゴが塹壕から飛び出してきた!

初見にして最後のプレイでしたが、25ターンで全てのVHを確保し強制終了。

最後はなんとか押し切りましたが、ソ連軍の損害、特に戦車の損失が予想以上に大きく、これも牡丹江の戦いをよく再現している感じがして、なかなかよくできたシナリオだと思います。