Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ


リハビリ編 第8弾 #617

(2024.07.07)

今回紹介するシナリオは#617[Ultimate Treachery]です。
和訳すると、「究極の裏切り

このタイトルの意味は、フランス領インドシナを巡る日本軍とフランス領インドシナ軍との関係からくるものです。

シナリオの戦闘は、1945年3月10日ですが、3月9日に日本軍はフランス領インドシナにおいて「明号作戦」を実行しました。

と、その前に、フランス領インドシナについてと、日本との関係について簡単に説明しておきましょう。


まずフランス領インドシナというのは1887年にフランスが植民地にした東南アジアの領土で、現在の国で言うと、ベトナム、ラオス、カンボジア、中国湖広東省の一部にあたります。

トンキンというのは現在のベトナム北部

アンナンというのはベトナム中部

コーチシナというのはベトナム南部


1940年6月、フランスパリはドイツの侵攻により陥落、その後ドイツの傀儡政権であるヴィシー政権が樹立します。

このヴィシー政権は当然、枢軸国である日本とも友好的であるため、1940年9月、フランス領インドシナの全土を日本軍が占領してもよいという許可を出しました。

その結果、1941年7月までに日本軍はインドシナ全土を占領し、日本はインドネシアにおける植民地の解放を進めていきました。

しかし1944年8月、連合軍によるパリ解放により、ヴィシー政権は崩壊、フランスにはフランス共和国臨時政府が誕生しました。

そうなると今度はフランス領インドシナが問題になってきます。

政権が代わったことで、日本との関係も変わり、インドシナのフランス軍は日本との戦闘の準備をしていきます。

幾度の話し合いも折が合わず、1945年3月、日本軍はフランス領インドシナ軍の武装解除を目的とする明号作戦を実行しました。

前置きが長くなっていますが、もう少しの辛抱です。

この作戦は日本軍のクーデターと海外で言われていますが、日本軍はフランス軍の駐屯地を制圧し、事実上、フランスによるインドシナ支配を解体させ、1945年3月、ベトナム、ラオス、カンボジアの独立を成立させました。

話は戦後になりますが、日本軍降伏後、フランスは独立を認めず、逆に武力で制圧しました。

その結果、第一次インドシナ戦争が勃発、1954年には有名なデイエンビエンフーの戦いでついにフランス軍は降伏し、フランスは独立を承認しました。


<ランソンの戦い>

さてフランス領インドネシアのこれ以上の詳細については皆様にお任せするとして、今回のシナリオに入っていきましょう。

この戦いは「ランソンの戦い」と海外では言われています。

ランソンは人口2万人の町で、フランス軍はここに要塞を築きました。

中国の国境沿いにあるため、元は中国軍の侵攻を防ぐために作られた要塞ですが、フランス外人部隊を含めた兵士7000名、300挺の機関銃、火砲80門、戦車10輌を擁する難攻不落の要塞でした。

明号作戦はほぼこのランソンの戦いが全てで、5月まで戦いが長引いたのはフランス軍残存部隊が中国領へ逃亡したので、それの掃討に時間がかかりました。

日本軍は第38軍の第37師団の第225歩兵連隊で、わずか1500名。

(シナリオのブリーフィングには、第21歩兵師団となっていますが、これは間違いでしょう)

ランソンの要塞の中でも主要要塞だった「ブリエール・ド・リル要塞」が今回のシナリオの戦場となっています。

日本軍の部隊は初期配置で、4つに分かれています。

ターンは20ターン。

「ま、大したことはなかろう」

と、さくさくっとやった結果、

なんじゃこりゃw

完敗でした。

それも15ターンくらいで投了。

「うぐぐ」

「もしかしてクソシナリオか?」

と思いながらも、もう一度プレイしてみることにしました。


<骨太なシナリオ>

このシナリオ、難易度高いです。

全然低くありません。

だから面白さ4.0になっているのでしょう。

特に建物のVHを巡る戦いは一つのミスが致命傷になってしまうので緊張感がありました。

2度目のプレイ結果からお伝えします。

どうでしょう

引き分けでしたが、自慢げですw

(もちろん途中やり直しなんてしてません)


<戦い方を振り返る>

まず惨敗した戦いを振り返ってみました。

日本軍には81mm迫撃砲が2部隊と前線観測隊、そして事前照準登録も2個あるので、最短1.0で砲撃できます。

この迫撃砲をいかに効果的に使用するか、これがものすごく重要になります。

しかも各砲砲弾が40発しかないというのもあり、無駄には使えません。

日本軍の突撃に合わせ、砲撃で敵を「Pinned」状態にできればいいのですが、これが全く機能しませんでした。

これは単なる砲撃の照準をどこにするかという選択を間違えただけではなく、ただなんとなく照準しただけというミスでもあります。

そのミスは2つ目の振り返りも影響しています。

2つ目は初期配置で右上にいる部隊です。


初期配置で右上の部隊

1回目のプレイでは、この部隊が要塞のVHのあるエリアまでほぼたどり着けませんでした。

適当に目の前の川を渡らせようとしましたが、機関銃とスナイパーに行く手を阻まれ、かなりの損害を出してしまい、この部隊の支援に砲撃を使ってしまいました。

2回目は、この部隊を橋のあるVH付近まで移動させ、ここから橋の付近から道路の上の3つのVH群を獲りに行かせました。

3つ目は日本軍は史実同様、戦力が少ないので、温存しながら戦わないといけません。

この温存しながら戦うというのも時には大事な戦い方だと思います。

このシナリオの20ターンって、結構長く感じます。

なので残りターンを何度も確認しながら、部隊をできるだけ温存していく戦いに徹しました。

温存というのは、できるだけ相手の元気なうちは、突撃しないことです。

最初のプレイでは、敵の待ち構える建物に突撃を敢行し屍を築いていきました。

どこかのタイミングでVHを獲りに勇気を振りしぼって突撃しないといけないので、そのタイミングを見計らうことが大切です。

<2回目の戦闘のリプレイ>

途中からですが、画像で振り返っていきましょう。

13ターン目でこんな感じです。

日本軍から見て手前側の4つのVHがある建物を制圧できて少しホッとしました。

「よし!」

というのも、ここはまじで激戦だからです。

油断してもしなくても四方八方から攻撃を受け、あっという間に損害が出て後退ということになります。

なので歩兵の煙幕で視線を切ることも重要です。

↑の画像でも煙幕を張っているのが分かります。

この視線を切るという作業も、なかなか緊張感があります。

とにもかくにも日本軍はこの最初の建物のVHを確保するのが第一目標です。

また一番下にいる部隊は、最後の攻撃部隊用として、森の中で待機させました。

✛型の建物の裏への攻撃もできる位置にいます。

15ターン目の様子です。

第二目標はどこにするか迷いましたが、✛型の建物にしました。

ただしこれが正解だったのかは分かりません。

迫撃砲の砲弾はがなくなったため、13.2mm重機関銃の視界を切るために煙幕を張っています。

中央道路の上にある3つのVHはまだ何もできていません。

✛型の建物に突撃が行われました。

偵察隊には気の毒でしたが、おとりになってもらいVHを獲りに行かせました。

歩兵を建物の真後ろに配置できたので、後はこのVHを獲りにくる敵を待ちます。

無駄な突撃はしません。


17ターン目の様子

A0司令部の抑圧があがっているのは、敵の砲撃を受けたためですw

焦りは禁物です。

そして部隊温存。

道路の上側の3つのVHにも攻撃が始まりました。

ここも激戦になりました。

19ターン目の様子。

FT-17mの登場です。

史実にも時代遅れのFT-17が配備されていましたが、このシナリオでも最後にのこのこと姿を現します。


インドシナに配備されたFT-17

このFT-17mには機銃しかありませんが、日本軍歩兵には対戦車用武器がないので、防戦一方になります。

それでも1輌を近接攻撃で移動不能にしましたが、それが精一杯。

道路の上側のVHも2つ制圧に成功しました。

21ターン目の様子。

ゲームは20ターンで終了せず、21ターンまでいきました。

なんとFT-17がVHのある建物に突っ込んできて、VHを獲られました。

フランス外人部隊は士気値+8、経験値+8という精鋭部隊なので、あまり相手にしない方がいいでしょう。

2回目の結果は引き分け。

日本軍で勝利するには、かなり難しい感じがしますが、それでも面白かったのでよしとしましょう。

嫌な汗をかいて暑さを乗り越えましょー