基本編では設定から操作までを説明 してきて、004番の攻略編では歩兵戦をテーマにしたシナリオを攻略しました(一応ですが)
ですが、まだまだ説明していない部分も 多くあります。
もう皆様もお 気づきのことと思われますが、その一つとして戦車(車両)の扱いかたです。
この車両については正直なかなか難しい テーマでして、歩兵での戦闘に車両が入るだけでゲームバランスはがらりと変わってしまいますし、戦い方も変わってしまいます。
で すので初心者の方などはまず歩兵同士での戦闘でしっかりとコツ(射撃・移動・地形・砲撃・MG)をつかみ、そこで腕をあげ、ゲームの楽しさを十分に理解し ていた だくことが望まれることでもあります。
とは言っても、第一次世界大戦じゃあるまいし、戦車が出てこないシナリオがそん なにあるわけではありませんので、今回は一丁、戦車が登場するシナリオを取り上げてみようかと思い準備をしました。
で、 いきなり260番!
まず260番を取り上げた理由ですが、
a 年代が1942年である(T34/76がメインで出 てくる時代、ドイツ軍でいうと4号戦車が活躍する1942年あたりまでがバランスもいいし、また互角感があるのでやりやすい)
b 歩兵 と戦車の共同作戦である(戦車戦だとあまり攻略にならないんです)
c 多分、誰もやってないだろう
と いうのがその理由です。
案外cは見逃せないですよw
domo戦記のときも、誰もやったことが ないであろうものをわざわざ選択していますから。
さあ、それではまたしばらくお付き合いください。
<歴史的背景>まず260番のテキストの翻訳をご覧ください→こちらです
皆さんもご存知のとお り、ドイツ軍は「バルバロッサ作 戦」でソ連軍と戦い、モスクワを目指しました。
そのモスクワ侵攻の主役となったのが中央軍集団です。
(北方軍集団はレニングラード方面に、南方軍集団はウクライナ方面だが後にスターリングラードが待っている)
そのモスクワを目指した中央軍集団ですが、モスクワ直前まで迫ったのですが、補給線が伸びきり、はたまたソ連軍の頑強な守りにより作戦は失敗。
その後の中央軍集団は一転防御に転じることになります。
とは言っても兵力も兵器も十分でないまま冬のロシアで厳しい戦闘が待ち受けていました。
一方ソ連軍はこれまたどこからかき集めてくるのかわかりませんが、兵力をやたら増強していきます。
そして消耗し切ったドイツ中央軍集団に襲い掛かってきました。
ここに凄惨な東部戦線の後退劇が始まったのです。
こんなことを長々と書いていると全くゲームが始まる気配さえ感じなく なってきてしまいま すので、ここらで話を早送りさせたいと思います。
というのは表向きで実はあまり戦史に詳しくないってのが本音かも。
(でも戦史をかいつまんで説明するっていうのは相当の知識が整理されていないと難しいということをいつも感じます)
ドイツ軍のモスクワ侵攻が失敗に終わったのが1941年11月。
先にも述べましたがその後中央軍集団は戦線の縮小を余技なくされます。
12月にはそれまでのソ連軍とドイツ軍の立場は入れ替わり、ソ連軍が攻撃を開始します。
そして1942年の1月、ソ連軍は後退するドイツ軍を敗走していると思 い込みドイツ軍の戦線を一気に突破しようと試みます。
そしてその激戦地になったのが、このシナリオの舞台ともなるルジェフというところです。
グーグルアースで「Rzhev」と記入してその場所を探してみてく ださい。
街を母なるヴォルガ河が流れ、そして街を縦横に鉄道が走っているのがお分かりでしょう。
こういう場所はいつの時代にも重要な拠点になるんですね。
そしてそこに住む人々にとっては悲劇が待っているわけです。
またこのルジェ フという街には所々に戦争の記念碑のようなものが建てられているのも分かります。
スターリングラードという街ほどメジャーではありま せんが、「ルジェフでの攻防戦」というのは、今でもロシア国内では後世に語り継がれているんだと感じました。
(ルジェフ攻防戦というのは第一次と第二次とがあり、第二次の方が有名で、第一次の方はあまり語られていない)
「ルジェフ攻防戦」の詳し くはこちらで
ソ連軍は22軍、39軍、29軍が北から、そして30軍、31軍、第1突撃軍がルジェフの東から攻撃を開始しました。それが1月12日から1ヶ月ほど続く攻防戦の始まりです。
そしてソ連39軍が、ルジェフとルジェフの西にいるドイツ23軍との間の戦線、約15キロの戦線に穴を開け突破しました。
ご存知のよ うに東部戦線のドイツ軍の戦線というのはどこも限りなく薄いものです。
何十キロに渡る広大な戦線をどうやって死守したのかは日本人にはちょっと理解に苦しむところですが、とにかくこの戦線が突破されたことで、ルジェフの左15キロにいたドイツ23軍は孤立してしまいました。
(ちなみにこのドイツ23軍の中にSS第8騎兵師団「フロリアン・ガイアー」のちにブタペスト攻防戦で全滅するハンガリー人の師団がいることが、高橋慶史氏 の「カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS」に出てきます)
しかも危機は23軍だけではありませ ん。
この穴の開いた戦線から続々とソ連軍が侵入してきており、ルジェフの右から攻撃してきているソ連軍と挟み撃ちにされ包囲されてしまうという危機に陥りました。
そこに登場したのが、かのモーデル(後の元帥)です。
モーデルはルジェフを守るドイツ第9軍の新司令官として着任してきたのです。
そのモーデルがやってきたのが1月22日、そこから反撃が始まります。
氷点下45度の中、モーデルは最前線に自ら赴き、前線の兵士を鼓舞します。
(ドイツ軍人のこういう武勇伝にはいつも感動します)
モーデルの登場で士気が高揚したドイツ軍は、孤立した23軍とルジェフの9軍が穴のあいた戦線から侵入してきたソ連39、29軍を両翼から攻撃し、穴を塞ぐのに成功しました。
これによってこじあけた穴から侵入してきていたソ連39、29軍は、穴が塞がることで逆に閉じ込 められることになってしまいました。
しかしソ連軍がこれを黙って見逃すはずはありません。
大軍でもってこの穴を 再度突破してくることは容易に想像できます。
それだけはなんとしても阻止しなければなりません。
ま してヒトラーからは撤退命令など出ていませんので、ここを守るしか方法はないのです。
モーデルは攻撃に出ます。
穴の開いた戦線から侵入していたソ連39、29軍を撃滅させ、戦線を維持しようとします。
その重要な任務を第9軍のダスライヒ師団と第1装甲師団がすることになりました。
ということで今回の主役となる第1装甲師団ですが、この部隊は北方軍集団の予備部隊でしたが、12月7日に中央軍集団に急きょ配属されました。
またダスライヒ師団ですが、ダスライヒはモスクワ侵攻の最先鋒でもあったため、部隊は既に消耗しきっており本隊は本国へ帰っており、残されたのはわずか1個 中隊程度でした。
モーデルからこの大役を受けたのはダスライヒ師団のオットークム中佐、彼は残存している 部隊でSS機甲擲弾兵連隊「デア・フェラー」を編成します。
そして第1装甲師団と共にソ連軍と戦うのです。
(注: ここでは装甲師団と表記していますが、本によっては戦車師団とか機甲師団とか様々な訳がされています)
いやあ長かった前置き
自分でも書き出すまでが本当に一苦労なんですがなんとかゲームに入れそうです。
モーデルから「死力を尽くして守れ」と命 じられたオットー・クム中佐が率いるのはわずか1個連隊、しかしそれでも精鋭であります。
(ダスライヒが戦車師団になるのはこのあとの再編からであり、この時点ではまだ歩兵(擲弾兵)師団であった)
1月28日、第1装甲師団を率いて攻撃が開始される。
ゲームに登場するのはその第1装甲師団の「アルブレヒト」中隊です。
では戦力から見てみよう。
ド イツ軍は二つの部隊から編成される。
A0 司令部
B小隊 偵察隊2
C小隊 歩兵部隊中隊長(3分隊)
D小隊 歩兵小隊(5分隊)
E小隊 歩兵小隊(5分隊)
F小隊 歩兵小隊(5分隊)
G小隊 MG34×3分 隊
H小隊 戦車中隊中隊長 4号戦車(E型)×2
I小隊 4号戦車(E型)×4
J小隊 3号戦車(H型)×5
K 小隊 10.5センチ歩兵砲(盤外砲)×4門
編成からも歩兵部隊の中隊長と戦車部隊の中 隊長の2名がいることがわかる。
また歩兵部隊はSS部隊であるため、国防の兵士よりも士気値、経験値などが高い。
またC小隊のC1分隊は5cm迫撃砲3門の部隊であるが、この軽迫撃砲は間接射撃、即ち砲撃要請ができない。
SPWAWで は5cm迫撃砲などの軽迫撃砲でも全て砲撃要請できたが、実際ドイツ軍はこの軽迫撃砲を砲兵部隊としてではなく、歩兵部隊を直接支援するために用いていたということもあり、SPWW2では砲兵部隊として要請可能な部隊も一部にはあるが、一般に歩兵部隊の中に組み込まれているものは直接射撃することしかでき ない。
また4号戦車は短砲身の75mm砲を搭載したE型である。
ちなみにこの短砲身のE型は 個人的には4号戦車の中でも非常に好きな戦車でもある。
ただしこのE型はCS-TANKと記されているように歩兵 支援型の戦車である。
いやだ!と泣き叫んだところでこれだけは致し方ない。
なんせHE弾は60発も搭載できるのに、AP弾とAPCR弾が合わせて20発しか搭載できない。(弾数は年代にもよります)
3号戦車は短砲身5cm砲のH型だ。
(戦車は短砲身だが、僕のものは長砲身だ!心配御無用!)
正直、プラモデルで3号戦車は作ったことはないほど、これまであまり見向きはしなかった。
だが、1942年の初めならば、ドイツ軍は戦車の性能よりも戦車兵の熟練度においてソ連軍よりもはるかに優勢であった。
今回もその戦車兵の腕を信じようではないか。
<作戦立案>それでは今回の作戦の概要を説明するとしよう。
我々は2つの村を占領する。
上の大きい村がLUBANY(リューバニ)、下の小さい村が KARABNOWO(カラブノーオ)である。
SSダスライヒ中隊はこのリューバニ村の西から攻撃を開始するため現在はその道路上に部隊が配置されている。
戦車中隊は図のように中央の雪原の中にいる。
もちろん各車両は冬季迷彩が ほどこされている。
(SPWW2は自動で冬季迷彩になる)
さて今回の作戦だが作戦参謀室ではいくつかの選択が立て られた。
それは、
1 戦車中隊はSS歩兵と共同してリューバニ村を確保し、そのあとカラブ ノーオ村へ向かう。
2 リューバニ村はSS歩兵に任せ、戦車中隊はカラブノーオ村に向かう。
3 武器を捨てて雪合戦を楽しむ。
作戦参謀が3番目を言ったときはその場が和んだことは言うまでもない。
だがそんな中、戦車中隊中隊長のアルブレヒト大尉は一人怪訝そうな顔をして言った。
「我が中隊には随伴歩兵がおりません。ましてこの視界の中を戦車のみで前進することは相当 の危険が伴います」
もっともな意見である。
ここ数日天候は荒れ模様の吹 雪であり、視界が11へクス(約500m)ほどしかきかない。
これでは戦車だけで前進するのは危険すぎる作戦だ、とアルブレヒト大尉は進言したのだ。
では敵の戦力はどうなっているのだろう。
リューバニ村を守るソ連軍は2個中隊程度、残りのソ連軍はカラブノーオ村にまだいるという報告 が入ってきている。
ちなみにVH(勝利へクス)は11個がリューバニ村、7個がカラブノーオ、そして3個はリュー バニとカラブノーオの間の道路上に全て100ポイントとなっている。
ドイツ軍は最低でもリューバニ村の11個と道 路上3個、計14個のVHは確保しなくてはいけないだろう。
【ちょっと一息】
作戦を考えるというのは重要なことです。
ゲームをやっていると、つ い作戦を立てるという作業をやらずにそのままユニットを動かしてしまいがちです。
ですが実際に戦場ではそのようなことはまずありえな いでしょう。
プレーヤーは一司令官になるか、一小隊長になるか、一分隊長になるか、などの違いこそありますが、軍 隊である以上、どの立場でも作戦-命令が存在するわけです。
確かに「勝利条件=命令」でもありますが、それは命令であって、作戦ではありません。
ゲームが「面白くない」「やりたくない」なんて最近思っている人がいれば、大ざっぱでいいですので、 作戦をたてながら自分が一司令官になったつもりでプレイしてみてください。
きっと新鮮な面白さを感じることでしょう。
で、 かなり悩みました。戦車中隊をどう使うかで・・
ですが自分が指揮官であれば、こうするだろうなということで、結論を出しました。
【一息終わり】
「アルブレヒ ト大尉」
「はい」
「大尉の戦車中隊だが、リューバニ村の側面から歩兵を援護し、そのあと村を包囲し、敵の後続部 隊を警戒しろ」
「ヤ ボール」
司令部を出ると雪がやんでいた。
大尉はタバコに火をつけた。
そ して恨めしそうにどんよりとした空を見上げフーと煙を吐いた。
戦闘開始前
アルブレヒト大尉は自らの戦車中隊に戻り、各戦車長を集めそこで今回の作戦の任務を説明した。
誰もが疲れきってい る。それだけならまだいい。
この氷点下45度の中で目標を失い、希望が絶望へと変貌を遂げた戦争に誰が希望をもてるだろうか。
も し希望があるとしたら、いち早く故郷に帰ることを想像するしかないだろう。
「戦車部隊は二手に分かれる」
「4号戦車のI小隊はリューバニ村の側面から接近しソ連兵を村から追い出せ」
「そして3号戦車のJ小隊はリューバニ村にカラブノーオ村か らリューバニ村に来るであろうソ連軍の援軍を待ち伏せろ」
「ヤボール!」
いつも指示は明確かつ簡単だ。
それでも戦車長は全てを理解しているのだ。
各車両の乗員は既に燃料と弾薬を搭載し 終えエンジンをかけながら暖をとっていた。
車内は寒いがまだ外にいるよりはましだ。
そして作戦開始時間が来るのを待った。