Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

第15弾 #204 Battle For The WARTA Line

2015.04.29

中級第15弾となりました。

今回取り上げるのはシナリオ204番の「Battle for the Warta Line」です。

このシナリオを取り上げた理由ですが、

超難しい!

からですw

難易度が高いのか、 はたまた私自信がヘタレなのかは分かりませんが、たまには難しいシナリオを紹介するものいいだろうと思い紹介します。

では、 いつものようにシナリオ背景から

<シナリオ背景>
月日:1939年9月6日
場所:ポーランド中央部

バトルタイプ:ドイツ(Advance) vs ポーランド(Defend)

ターン数:16

登場部隊
ポーランド:第10歩兵師団の一部

ドイツ:SS Liebstandare Regiment

ドイツ軍におけるポーランド侵攻の一場面を描いたシナリオです。

このシナリオで登場するドイツ軍は、あの「ラ イプシュタンダーテ SS アドルフヒトラー」(LSSAH)で、後の「第1SS装甲師団」です。

この頃はまだ装甲師団ではなく、自動車化された歩兵連隊でした。

そういえばと思い、この部隊にいたクルト・マイヤーの書いた「擲弾兵」を本棚の奥の奥から探し出して読み返してみました。

持っている「擲弾兵」は昭和59年版ですw

「韋駄天パンツァーマイヤー」とか、懐かしいわ〜

韋駄天(いだてん)って、ほとんど死語でしょ。

このクルト・マイヤーは開戦当時、LSSAHの大尉として対戦車中隊の中隊長としてポーランド戦に参加していますので、著書「擲弾兵」にもその様子が書かれ ています。

LSSAHはポーランド戦では、南方軍集団の第8軍の第17歩兵師団に配属されていました。

参考までに

北方軍集団は

第3軍

第4軍

南方軍集団は

第8軍

第10軍

第14軍

スロバキア軍

北方軍集団の第 3軍は東プロシアからポーランドへ侵攻し、 第 4軍は西ポメラニアから侵攻を開始しました。

南方軍集団 の第8軍と第10軍はシレジアからポーランドへ侵攻し、ワルシャワへ向かうルート、 第 14軍はモラヴィアとスロバキアからポーランド南部へ侵攻しました。

ええと、 余談ですが、第8軍の司令官だったのは「ヨハネス・ブラスコヴィッツ」上級大将。

この人、東プロイセンの軍人です。

第10軍の司令官だったワルター・フォン・ライヒェナウ元帥のように多くのユダヤ人大量虐殺を指示し、ヒトラーから好かれた人物とは正反対で、 そういった非人道的なことに対して抗議さえしている人です。

また部下を大切にする人でもあり、自らの部下が軍法会議で死刑判決 が出たことを不服とし、それを取り消したこともあるという軍人です。

占領下のワルシャワでは、 軍による市民への略奪・暴行・殺人を見逃すわけにはいかず、上層部に覚書まで提出しました。

戦後、ほぼ無罪が確定とされていたニュルンベルク裁判の直前、飛び降り自殺で亡くなっています。

で、このブラスコヴィッツという名前、どこかで聞いたよな〜と思っていました。

どこだっけ?

あ!

そ うだ!

ゲーム「ウルフェンシュタイン」 の主人公の名前でした。

余談終わり。

クルト・マイヤーのLSSAHは、 ワルシャワ郊外で第10軍の第4装甲師団に配置転換されます。

クルト・マイヤーは上官の「SEPP」ことヨーゼフ・ディートリッヒに、 もっと働き甲斐のある部署を求めて直訴したというのは有名な話。


さてさて、今回のシナリオは日付が9月6日となっています。

ポーランド侵攻の最大の山場であり激戦は、9月9〜19 日にかけて繰り広げられた「ブ ズーラ川の戦い」です。

もちろん ここでも、LSSAHは戦闘に参加しています。

(ただし目立った活躍をしたというわけではなさそうです)

このブズーラ川の戦いは、4個歩兵師団と2個騎兵師団を持った「ポズナン軍」(Poznan)と、5個歩兵師団と1個騎兵旅団からなる「ポメラニア軍」 (Pomorze)、合わせて22万名がドイツ軍に反撃をする戦いです。

ポーランド騎兵の活躍は目を見張るものがありました。

ですが、制空権を確保したドイツ軍の空からの攻撃により、ポーランド軍は撃退されていきます。

このシナリオは、そのブズーラの戦いの数日前です。

進撃するドイツ軍の行く手を阻もうとするポーランド軍にドイツ軍はしばしば苦戦しています。

戦場となるのは、ポーランド中部から西部にかけて流れる [WARTA]という川。

日本語では「ヴァルタ川」と呼ばれています。

画像を見ると穏やかな感じですが、この川はとても長い河で、ポーランドで3番目に長い大河です。

支流はオーデル川につながっています。

ポーランド軍は初期のドイツ軍の侵攻を食い止めるために、この河を防御ラインとしていたのでしょう。

実はこのシナリオは元ネタがあります。

そうです!

Advance Squad Leader (ASL)のScenario 21です。


ASLからの移植シナリオは過去に中級編でもいくつか紹介しましたが、今回のは完全移植に近いものです。

<ドイツ軍の戦力>

A0  司令部

B   SS中隊長(迫撃砲分隊、狙撃兵)

C   SS小隊

D   SS小隊

E   SS小隊

F   SS小隊

G   SS小隊

H   1号戦車B型(2輌)

I   7.5cm 歩兵砲(牽引用トラック)

J   10.5cm 榴弾砲(盤外砲)

ドイツ軍は歩兵1個中隊と戦車2輌、砲兵部隊という最小の編成。

中隊は普通は3小隊が基本と なりますが、今回は1個中隊に小隊が5個となっています。

SSユニットの特徴は各ユニットの士気値、経験値が高いので、被害が出ても回復に成功する確率は高いです。

Bは、B0が中隊長ユニット、B1が5cm迫撃砲部隊(直接射撃のみ)、B2が狙撃兵です。

このFC(Fire Control)値が5の狙撃兵ユニットは貴重な戦力です。

使用上の注意をよく読ん でお使いください。

(そんなものありませんが)

そしてさらに貴重な戦力が、1号戦車です!

1号戦車にはA型、B型、C型、F型 がありますが、今回登場するのはB型。

武器は砲塔の7.92mm機銃のみ。

しかも装甲値はご覧のとおり。

1号戦車はA型とB型の装甲は前面・ 側面共に13mmとなっていますが、前面は傾斜角があるため、装甲値が2となっています。

実際、1号戦車の 装甲は小火器程度の銃弾には耐えられたとありますが、対戦車砲には全く役に立たちませんでした。

久々に1939年のシナリオをプレイしてみましたが、ほんと戦車のイメージが変わります。

弱い弱い (汗)

しかも武器が機銃だけという貧弱ぶり。

こんなんでドイツ軍よく戦争しかけましたな〜

このシナリオにはポーランド軍には対戦車砲は登場しませんが、 対戦車銃部隊が出てきます。

この対戦車銃が

恐い恐い(汗)

しかしドイツ軍にとっては、この2輌の1号戦車はとても重要になってきます。

こんなに1号戦車が貴重な戦力になるシナリオってあったでしょうか。

そして7.5mm歩兵砲

これは親切に初めからトラックに牽引されています。

この歩兵砲の使い道はいろいろあります。

7.5mm歩兵砲は直接射撃も間接射撃もできる砲です。

(SPWAWでは間接射撃ができなかった)

ただし注意することは、7.5mm歩兵砲は間接射撃では射程距離が13ヘクス以内は 照準できません。

最小14ヘクスから、最大74ヘクスというのが射程距離になります。

な お、 この最小射程距離は、ゲーム内のデータには記載されていません。

また移動が2ヘクスも出来るのが特徴です。

10.5cm 榴弾砲は盤外砲なので、ユニットとしては登場しません。

こちらは砲兵中隊なので、4門となっています。

その効果に期待したいところです。

ただし、盤外砲なので弾着のばらつきには極力注意が必要です。

A0司令部による射撃要請で照準すると、照準地点は視線が通りません。

そうなると、SPWW2では弾着の誤差が大きくなります。

それを防ぐためにも、要請は司令部で行い、その後の照準調整は小隊長もしくは中隊長で行うようにするといいでしょう。

<ポーランド軍の戦力>

ポーランド軍は第10歩兵師団の一部です。

A0 司令部

B  中隊長

C  小隊

D  小隊

E  小隊

F  中隊長(HMG 3、81mm迫撃砲、FO、歩兵分隊)

G  81mm 迫撃砲

H  ブンカー

ポーランド軍は全て完全防御態勢なので、塹壕化しています。

塹壕の中にいる敵は最強です。

なかなかこちらの攻撃が命中しません。

しかも向こうの攻撃はよく当たります。

SPWW2は塹壕の中の敵は本当に厄介なんです。

そしてドイツ軍の行く手には鉄条網はあるわ、地雷はあるわ、ドラゴンティース(車輌止め)はあるわで、なんでも有りです。

そりゃ〜ないよ〜

泣くたくなるのはこれぐらいではありません。

最初プレイしたとき、ポーランド歩兵って強いなあと思いましたが、その理由が数でした。

ポーランド軍の歩兵分隊って、1分隊が19名もいます。

多すぎ(汗)

まだあります。

各小隊に1分隊ずついる対戦車銃部隊。

この対戦車銃「wz.35 AT-Rifle」についてはこちら

これが・・本当に厄介です。

たいてい、これに1号戦車がやられます。

で、用心しながら、もたもたしていると、81mm迫撃砲で狙われます。

<ドイツ軍の戦術>

さてさて、ドイツ軍の戦術を見ていきましょう。

前回の更新から2週間ほど時間を空けましたので、皆さんもこのシナリオをプレイしていただいたことでしょう。

どうでしたか?

中にはポーランド軍に降伏した方もおられることだと思われますw

何も考えずに、ただ部隊を前進させ、VHを確保しようとすると、本当に痛い目に遭います。

もし、 そのようにしてポーランド軍を撃退した方がいれば、是非、お目にかかりたいです。

かくいう私も、 このシナリオを初めてプレイしたときは、セオリーどおりにドイツ軍部隊を前進させ、森を通過させました。

その結果、ドイツ兵は 次から次へと狙い撃ちされ消耗、そして最後は無意味な突撃。

2度目は、いきなり戦車を失い、以下省略・・・

そのとき、

これ無理でしょ!

と思いました。

どうやっても、 16ターンではポーランド軍を撃退させても、歩兵がVHまでたどり着けない・・

どうしたらいいのか・・

3度目のプレイでようやく戦術らしきものを考えました。

(やっとか!)

・ 煙幕を張る

・ 戦車は命がけで守るw

・ 中央からは突破しない

(これが戦術でしょうかw)

もう少し具体的に見ていきましょう。

まず、目指すVHですが、

A とHです。

B、C、Dは無視です。

ここの敵は塹壕化されており、また道路を挟んで、複数の部隊の火点にさらされます。

しかも守るポーランド歩兵は、 士気値、経験値が低いと言えど、一分隊が19名もいるので、多少、損害が出ても、へっちゃらです。

なので、 同等の損害を出すと、ドイツ歩兵の方が断然不利になります。

突撃する前の砲撃支援ですが、今回は10.5cm榴弾砲の1個中隊は、 盤外砲であるため、正確な着弾が期待できません。

(SPWW2の盤外砲は、着弾誤差が結構でます)

この辺は、皆さん、やってみてお分かりですよね。

何がって?

味方を誤爆することです(涙)

このシナリオではドイツ軍の砲撃要請は、A0司令部ユニットが一番早く、遅延時間2.5で要請できます。

2.5というのは、 要請してから3ターン後ということになります。

(1ターンは砲撃要請が不可能なので、2ターンに要請すると、 最速で5ターン目ということ)

また砲撃は一度ではなく、集中して砲火を浴びせ、敵の抑圧を上げることが効果的ですが、 やはり着弾誤差に泣かされます。

7.5cm歩兵砲は敵が建物に入って塹壕化しているので、あまり効果的ではなさそうです。

じゃあ、どうするか。

砲弾ではなく、煙幕を張ります。

もちろん煙幕でも遅延時間は2.5かかります。

でも張ります。

場所は




画像のマークの辺りでいいと思います。

このAとEの丘にはVHがあり、当然ここには敵が配備されています。

まずはこの丘の敵の視線を消します。

煙幕は10.5cm砲と7.5cm砲の両方で張ります。

7.5cm 歩兵砲は司令部の近辺に降車させましょう。

煙幕弾は一度張ると、2ターンぐらいは効果がありますが、 すぐに晴れてきますので、続けて照準修正をしながら張ります。

このシナリオは煙幕弾の使い方が重要なポイントになってきますので、 是非、身につけてくださいw

煙幕弾は、10.5cm榴弾砲には15発、7.5cm歩兵砲には14発積載されています。

(全て使い切ってもいい)

次に、ドイツ軍はAとEのVHを目指します。

B中隊、C小隊、D小隊、G小隊は、VHのEへ向かわせます。

そしてVHのAには、F小隊と2輌の戦車です。

(残ったE小隊は、好きにしてくださいw)

で、 戦術の「戦車を命がけで守る」というのは、このシナリオは戦車を失うと、ほぼ勝利は不可能だからです。

勝利するには計21個のVHのうち、 半分以上は確保しなければいけません。

この半分を確保するには、移動力が必要になってきます。

ということはやっぱり1号戦車様に頑張っていただくことになりそうです。

しかし、 どうやって?

戦車が通れそうな道路上には全て「ドラゴンティース」が設置されており、 車輌は通行不可能になっていますよね。

またEの丘の前方は地雷源になっています。

じゃあ、 どうするか?

ここから侵入するのだ!

はい、 ここしかありません。

しかしAの丘には対戦車ライフルを装備した部隊が配備されています。

そのために煙幕を張りました。

そしてこの対戦車ライフル部隊は見つけ次第、最優先でやっつけます。

そのときは歩兵部隊がいいでしょう。

Aの丘の敵を排除したら歩兵部隊の到着を待ちます。

そのとき機関銃部隊も連れて行きます。

その間に今度は丘Hの方を進めます。

こちらは地雷源があったり、敵との交戦で、苦戦を強いられますが、粘り強く戦えば、丘HのVHは確保できます。

ただし、 その後方にある丘IのVHに強力な機関銃部隊が反則的に配備されていて、ここから先が進めません。

(ここまで来るのにかなり消耗しているし)

とりあえずこれ以上の消耗を避けたいと判断したら、無駄な戦いは避けるのも手です。

そして終盤。

丘Aを確保したら、 1号戦車は今度は3つのVHがあるFを目指します。

その後は、マップの右淵にある4つの100ポイントVHを目指します。

移動がかなりかかりますので、 全部は難しいと思いますが、獲れるところは獲りましょう。

こんな感じです。

いかがでしょう。

3回目は引き分けでしたw

皆様も是非、お試しください。

<結末>

SPWW2には独ポーランド戦のシナリオが異常なほどに多くあります。

これまであまり手をつけていませんでしたが、 両軍の戦力を見てみると、結構、面白いなと最近、感じています。

上の方で書いた「ブズーラ川の戦い」も、#232で再現されていますので、ポーランド好きの方は是非プレイして見てください。

余談ですが、このシナリオの舞台となったヴァルタ川は、2012年10月、沼地の中からでイギリスのバレンタイン戦車が見つかり、引き揚げられました。

戦後、発見された戦車で、これほど保存状態が完璧な戦車も珍しいということです。