Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

> シナリオガイドリスト

1944年欧州戦線編 [1]

#117  502nd at Dunaburg (1944.7.22)
#027   2 Tigers of Malinava (SPWAW 2016Enh)(1944.7.22)

#117  502nd at Dunaburg  (1944.7.22)
#027   2 Tigers of Malinava  (1944.7.22)

(2020.02.05 更新)

今回はオットーカリウスの「マリナーファ村の戦闘」を紹介しましょう。


オットーカリウスについては、説明するまでもなく皆さまもよくご存じだと思いますので省略させていただきます。

主に「第502重戦車大隊」の戦車長として活躍し、戦車の撃破数でも150輌以上(正確には不明)を記録しており、ドイツ軍の中では2番目の記録となっています。

ちなみに上の画像ですが、ドイツの将校が帽子を少し斜めにして被るのがカッコよくて好きです。

でもこれって、単なるファッション感覚だったそうです。

日本じゃあり得ないという以前に、日本人には斜め被りが似合わない(涙

オットーカリウスについては、ご自身が書かれた書籍があります。

「ティーガー戦車隊」(上下巻)

(以前持っていましたが手放してしまった)

他にも宮崎駿さんが書いた「泥まみれの虎 宮崎駿妄想ノート」がお薦めです。

(こっちは大事に持っています)

この本には、「泥まみれの虎」と「ハンスの帰還」の二つが収録されていますが、作者の宮崎駿氏が取材のために訪れたエストニアやドイツの紀行も掲載されています。

(宮崎駿さん、オットーカリウス氏と直接会っているんですよー)

さてオットーカリウスの活躍を語る前に、まずオットーカリウスが所属した「第502重戦車大隊」について語らなければいけません。

第502重戦車大隊は1942年5月に編成されましたが、重戦車大隊とあるだけに「ティーガー」を配備するための大隊として編成され、1942年8月29日、ティーガー4両は初陣を飾りましたが、それがこの第502重戦車大隊です。

第502重戦車大隊の戦場は、常に激戦区しかも最激戦区だったため、ティーガーも優先的に配備されています。

第502重戦車大隊は、「レニングラード包囲戦」でソ連軍と戦いました。

レニングラードの戦いは、1943年後半になると退却戦へとなっていき、1944年に有名な「ナルヴァの戦い」へとなっていきます。

もうね、ずっーーと撤退なんですよ、1944年って。

その後、ボロボロになって1945年1月に再編成されます。

第502重戦車大隊には非常に優秀な戦車長がいたことでも有名です。

オットーカリウスの他にも、ハンス・ベルター、アルベルト・ケルシャー、ハインツ・クラーマー、アルフレード・カルパネートなどは、敵戦車を撃破したエースとしても名をあげています。

それではこのシナリオの背景を見ていきましょう。

1944年2月から始まった「ナルヴァの戦い」は、

キンギセップ・グドフ攻勢(2月1日ー3月1日)

ナルヴァ攻勢
(2月15日ー28日)
(3月1日ー4日)
(3月18日ー24日)
(7月24日ー30日)

タンネンベルグ線の戦い(7月25日ー8月10日)

それぞれ「攻勢」とありますが、それはソ連軍の攻勢を意味します。間違ってもドイツ軍が攻勢なんてことはこの時期の東部戦線にはありません。

途中4月から7月ぐらいまでの間はどうしていたのかというと、両軍とも消耗しきってしまったので戦線は動かなかったそうです。

このシナリオの戦闘は7月22日で、これはソ連軍の7月24日からのナルヴァ攻勢の前哨戦となります。

この7月24日ー30日のソ連軍は攻勢は、ソ連側はナルヴァの占領(26日)、ドイツ側は撤退作戦の完了という結果に終わりました。

ドイツ軍はナルヴァから撤退しタンネンブルグ線と呼ばれた防衛線へ後退します。

そして「タンネンブルグ線の戦い」は、ドイツ軍として戦ったエストニア人にとっては歴史的な戦いとして今も記録されています。


話を戻しましょうw

ソ連軍の7月のナルヴァ攻勢に備え、第502重戦車大隊ではデュナブルグへ向かうようにと命令を受けます。

(ちなみにデュナブルグはドイツ語「Dunaburg」のことで、日本ではダウガフピルス(Daugavpils)で検索できますw) 

このデュナブルグは街道の要所であり、ドイツ軍・ソ連軍にとって非常に戦略的に重要な場所でした。

第502重戦車大隊には、7月10日の時点で可動するティーガーは8輌ありました。

ソ連軍は本格的な攻撃とまではいかないものの、連日のように戦車・対戦車砲で攻撃してきています。

一方、敵の攻撃を察知し、火消し役としてティーガーは前線へ向かい、少なからず被弾します。

ですが戦闘が終われば、再び牽引回収し修理しています。

歴史の表舞台には登場しませんが、このティーガーの整備班である裏方さんたちの活躍って本当にすごいんですね、この裏方さんがいたからティーガーは活躍できました。

さてさて長くなりましたが、戦闘に入りましょう。

ここからは、戦記「パンツァーフォー」から抜粋をしていきます。

20日夜、第502大隊へ緊急連絡。ソ連軍がデュナブルグ東側の第270歩兵師団戦区を突破、90〜100輌の戦車がデュナブルグ〜ロジッテン間の街道目指して突進中と言うのである。

(中略)

「おい、ケルシャー、聞いたか?」
「発砲音、少尉殿!戦車砲です!」
「キューベルワーゲンで見に行くぞ!」

ケルシャーとカリウスは中隊本部のキューベルワーゲンに乗ると、騒音の方へと走った。

デュナブルグ〜ロジッテン間の大街道はまさに魔女の大釜の様相を呈していた。

(中略)

カリウスは中隊へ取って返すと8輌のティーガーを連れて村落へと向かった。
クリバニ(村)のすぐ前にある丘の上で停止、戦車長達に作戦を伝える。

「やり方を言うぞ、よく聞け!まず戦車2輌、全速で村へ突っ込んでイワン共をひっかき回す。砲は連続発射、残りの6輌はニーンステット少尉が指揮する」

「ニーンステット、君は丘の斜面で待機していろ。俺の命令があるまで動くな。無線連絡を絶対に絶やさぬよう、これが一番大事な点だ。ニーンステット、俺の動きから目を離すな、村へは俺とケルシャーで突っ込む。これで全部だ、分かったな!」

この先頭の2輌のティーガーがカリウスとケルシャーの2輌です。

カリウスとケルシャーの2輌って、「泥まみれの虎」の中にも登場しますが、息の合った最強のコンビです。

ソ連軍は完全に意表を突かれた形となり、カリウスとケルシャー車は村にいた部隊を壊滅、その後方にいた主力部隊をも8輌のティーガーで壊滅、なんと1個旅団を壊滅させました。

ソ連軍は28輌の戦車、そのほか20輌以上のトラック・弾薬車・燃料車を失いました。

これはこの戦闘で撃破されたソ連軍の車輌の位置を表したものです。

ソ連軍には新戦車「IS-2」もありましたが撃破されています。

(カリウスはこの戦闘での撃破した敵戦車を28輌で報告しているのですが、IS-2戦車を何輌撃破したか後世になって違いがあるようです)

一方、カリウス率いる8輌のティーガーの被害は微々たるものだったそうで、ティーガー史上「マリナーファ村の戦闘」は、ミハエル・ヴィットマンンの「ヴィレルボカージュの戦闘」に匹敵するほどの完勝戦として有名な戦闘となりました。


イタレリからジオラマも出ていますw

さてゲームの方を見ていきましょう。

SPWW2のシナリオ#117 「502nd at Dunaburg」ですが、これははっきり言って難易度高いです(汗

なぜかって?

こいつが多すぎw

IS-2戦車です。

IS-2は、1944年2月から登場します。

射撃回数は2と少なく移動後には1になるというハンディはありますが、主砲の122mm砲は強力でティーガーでも真っ向から勝負を挑むとやられます。

しかもIS-2の装甲は非常に硬く、ティーガーの88mmでも貫通させるのは容易ではありません。

このシナリオのティーガーが初期配置されている丘からIS-2に命中させても、弾かれることが多いです。

真正面ならまだ貫けますが、少し斜めからの角度では何度も弾かれます。

ほんと相手にしたくない戦車です。

しかも122mm砲の恐ろしさ。

あんまり命中しませんが、たまに命中すると無傷ではいられません。

史実ではカリウスとケルシャーの2輌が村に突っ込んだとき、ちょうどソ連戦車のクルーたちは戦車を離れていたと言われます。

あれですね、村を襲ってたんでしょうw

なので10輌のIS-2を撃破できたそうです。

シナリオではそんなことはないです(涙

カリウス車、ケルシャー車、かなりやられます。

(あんまり撃ってこないので安心しているとやられます)

増援の6輌のティーガーに関しては、特に問題なくいけると思います。

史実がドイツ軍の完勝なので、カリウス・ケルシャーがやられると、きついですね。


一方、SPWAWの方のシナリオ#027「2 Tigers of Malinava」は初心者にはお薦めです。

(このシナリオはSPWAWの2016バージョンの#027です)

こちらはIS-2はそれほど出てきません。

しかもドイツ軍にかなり有利に作られていますので、史実通りの楽しみ方ができます。

カリウスすげー、ケルシャー最高ー を体感したい方は是非こちらを。

カリウスのティーガー217号車、有名な写真ですね、敬礼!