Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

第6弾 266「Fronteinsatz」

今回とり上げるシナリオは、大戦末期のドイツ軍の防御戦を扱ったものです。1945年のものはほとんど全てが防御戦ですが、 その中でもスカッとするような勝ち戦もしばしばあります。

では早速見ていきましょう。

<シナリオ背景>
月日:1945年2月24日
場所:ドイツ Hinterpommern Rummelsburg
バトルタイプ: ドイツ(Defend) vs ソ連(advance)

登場部隊
ドイツ: 詳細不明
ソ連: 詳細不明

戦場になった「Hinterpommern」は日本語でポメラニアと、世界史の中世史に登場する国家です。北はバルト海に面し、 東西をオーデル川とヴァイス川に挟まれた土地として、 中世からポーランド、デンマーク、スウェーデン、ドイツなどが争奪を繰り返しました。やがて全土がプロイセン領となり、 ドイツの領土となっていました。

「どんだけ説明されたって世界史なんて分かるかい!」
とお嘆きの貴兄にはこれを見せるしかあるまい。

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ポメラニアンやで!
そう、犬のポメラニアンの故郷です。

ポメラニアは1945年にソ連軍により占領され戦後、オーデル川から東はポーランドに領になりました。

シナリオの舞台となった「Rummelsburg」は現在のベルリンにある「Rummelsberg」ではなく、 現在は「Miastko」と呼ばれ、ポーランドの領土として人口1万人の小さな町です。

「Miastko」 をグーグルで覗いてみましたが、町といってもなーんにもありゃしません。
それでいいんです。 ブリーフィングには村と書いてあるんですから。

さて今回のシナリオは登場部隊の詳細が実はわかりません。 シナリオデザイナーによる参考文献ははっきりしているんですが、 その文献はポーランド人、Niclas Sennerteg氏の「StakinsHaemd」という著書です。(もちろん日本語訳などない)

アマゾンで調べたら、現在お取り扱いしていませんと出ていましたが、本当にあることだけは確かです。(取り扱っていても買いませんが)

シナリオはこの何もない寒村に、ポーランド横断作戦を展開しているソ連軍の戦車が攻めてくるというものです。

このソ連軍を迎え撃ったのが、「Flakhelfer」と呼ばれた16歳からなる対空砲の砲兵隊です。Flakhelferとはその名のとおり、 対空砲をヘルパーする役割りを持った少年兵部隊でルフトヴァッフェの対空砲大隊にはこういう部隊が本当にありました。

彼らが率いる4門の88mm対戦車砲がソ連戦車の進撃を食い止めることができるかが今回のシナリオです。

このシナリオは対人戦にも向いていると思います。


<ドイツ軍の戦力>

88mm 砲が4門あるのはいいのですが、その他は・・・

歩兵部隊の中に村を守るのに「Volkssturm」がいます。 ユニットガイドでも書きましたが、この部隊は経験値も士気値もありえないほど低く、ソ連軍の152mm砲で砲撃されれば、 たちどころに退却してしまうかもしれません。

まあそれでも、 どの部隊もパンツァーファーストを携帯していますので、いざとなればそれに期待するとしましょう。

あと、MG部隊が丘の上のいいところに陣取っているのと、8cm迫撃砲が3門あります。これは非常に大事な戦力です。

<ソ連軍の戦力>

1945 年2月のシナリオなんですが、登場してくる戦車はなんと旧式のT-34/76 1943年型とT-70の2種類です。

1944 年以降の主力戦車はT34/85になっていましたし、エンサイクロペディアで見ても、両戦車は1945年にはとっくに購入はできないことになっています。

しかし、実際は生産は終了していても、大量生産しているため、まだまだ現役で戦場にはいたんでしょう。

元ネタのあるシナリオなの でデザイナーが勝手にしたとか、間違えたというものではないと思います。

T34/76がA0司令部の1輌を入れて、 全部で21輌。
T-70が5輌
そして歩兵が2個中隊(20分隊)。
この歩 兵は1分隊ずつ、全てT34に乗車 して登場してきます。

最後に152mm砲の盤外砲が1個中隊。

と至ってシンプルにこれだけです。

1945年のソ連軍は、 手薄になったドイツ軍戦線をどんどん突破して、1日に何十キロとガンガン前進していました。なので、 歩兵は戦車に乗らなければ、到底ついていけない状態だったのでしょう。



<88mm対戦車砲の使用>

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今回のドイツ軍の主役である88mm対戦車砲について見ていきましょう。

現在、 海外で行っているプレーヤー間では、 PBEMでは購入禁止ルールというのがあり、その中の代表がこの88mmPAKです。

なぜかというと、 「公平じゃない」「不公平だ」ということが理由みたいです。
それほど反則に近いんでしょうね。

このシナリオではその不公平さをまざまざと見せ付けてくれます。
35へクスの距離(1750m)で撃たれたら、どうにもなりませんw

簡単に長所・短所についてですが、

長所:
射程距離がめちゃくちゃ長い。(70へクス)
貫通力が並外れている。(どの戦車でも撃破可能)
命中力が素晴らしい(FC値が最高の10)

短所:
HE弾が少なめ(20発しかない)
サイズが2と大きめなので、攻撃が命中しやすい。

これまでも対戦車砲の耐久度に関しては何度も修正が行われています。そのたびに鬼PAKだとか、すぐやられすぎとか、 なかなか難しい調整だと思います。実際の88mm対戦車砲は敵に遭遇し砲員が攻撃にさらされたとき、 どうしていたんでしょうかねえ。

多分、逃げたと思います。

なので、SPWW2のPAKは、「HIDDEN FIRE」がオンになっていれば、 始めは無双ですが、姿をさらすとすぐやられるという感じを見て、こんな感じだったのかなあと想像しています。 (塹壕化しているかどうかも防御力が全然ちがう)

やられるときは戦車のHE弾一発で壊滅してしまいますし、 やられないときは数名がやられても頑張って任務を果たしてくれるので、 弱いのか強いのかなんとも言えないところです。

さて、 今回のシナリオには珍しく各砲に牽引車輌「馬」がそれぞれ待機しています。

馬か・・・

これをどうやって使うのだろうと、試行錯誤しました。

もしかして発見されてから敵が砲撃要請をして砲弾が落ちてくるのを、 ある程度読んで、砲撃を回避するために場所を移動させるのだろうかと真剣に悩みました。

が、結論は、 初期配置の場所が一番良さそうですw
(そんなとこまでシナリオデザイナーは考えているわけがない)

まずこの位置で、敵の射程圏外から攻撃を開始することが88mm砲にとって何よりも先決です。 考えてみれば、敵の射程圏外から攻撃できることはすごいことです。

でもT34は足が速いので、すぐに射程圏内に入ってきます。そうなってもまだ有利なはずです。 T34は移動後の射撃の命中率がそれほどよくありません。ですから10へクスぐらいまでは大丈夫だと思います。

じゃあこの馬は何をするために・・

推測ですが、4門の88mm砲は塹壕化がされていません。と、いうことは、 敵戦車部隊が接近してくることも知り、慌てて砲を牽引移動し、そして敵を迎え撃つこの場所に砲を設置したと考えられます。なので、 砲自体も塹壕化されておらず、牽引した馬車もそのまま後方に待機しているという設定なのでしょう。

とは言っても、 戦場では臨機応変な対応が求められます。
砲を決してその場に固定して動かさないというのではなく、 もしものことを考えておきましょう。

例えば、南の唯一の砦の1門がやられた場合、 北の2門のうちの1門を移動させるとか、中央の1門が早々にやられた場合のことなどです。

このシナリオは南の1門が鍵になってきます。ここを早々にやられると、 ソ連軍は南からVHに進撃してきますので、あとは歩兵かパンツァーファースト隊に頼らざるをえません。 ただこの南の砲はなぜか命中率がよくない気がする。

中央の1門がやられた場合はまだ何とかなります。

いずれにしてもソ連軍は司令部ユニットが戦車なので砲撃要請が遅いです。(その分、忘れた頃にやってくるんですが)

何はともあれ、ストレスがたまり気味の方はドイツ軍でスカッとプレイしてみてください。

88mm砲の威力を存分に味わうことができるでしょう。

うまくいけば、ソ連軍の全戦車を撃破して、 A0司令部であるT34/76を撃破すると、歩兵が残っていても、その時点でゲームは終了するでしょう。そうなればドイツ軍のDVです。

16歳の少年兵たちの奮闘が目に浮かんできますよね。

しかし戦車を撃ち漏らし、村に戦車を侵入させてしまうと、 事態は変わってきます。戦車に跨乗していた歩兵がそのうちどやどやとやってきます。そうなるのを防ぐために迫撃砲で対処するか、 歩兵部隊を移動させなければいけません。

そうなると今度は阿修羅場が脳内に繰り広がります(泣)

最後に、この88mm砲は自軍の攻撃で射撃するときより、 相手の移動中の臨機射撃の方が命中率が高い気がするんですが・・気のせいかなあ。

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これが南の砦を守る88。 なぜか敵を見るだけで抑圧があがっていることがある。(5ぐらいですが)


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これは中央の1門がソ連歩兵からの攻撃により死傷者4名を出し、 砲員が離脱してしまったあと、無防備になったVHを獲られた様子。

ソ連歩兵の第2火器のLMGは射程が12あるので、なるべく10へクス以内には近づけたくない。 たかが、LMGで攻撃されても、塹壕化していない対戦車砲は遮蔽物がないに等しいので簡単に死傷者がでてしまう。

また、万が一、中央が突破された場合、あるいはされそうな場合、 すぐさまパンツァーファーストを持った部隊を、VH付近の建物の中に移動させ待機させておく。 また、パンツァーファーストは射程が2(これはパンツァーファースト60)であるが、 対戦車地雷を持ったC3分隊は射程が1なのでこれはVHのすぐ下の建物に移動させたい。



<ソ連軍でプレイ>

このシナリオを中級編で書くとき、ソ連側でもいいかもと思いました。
ですがソ連側でプレイすると、 あまり面白くないことが分かりました。
(面白くないというのはプレイバランスが悪いということです)

ドイツ軍でプレイすると、 何も知らずにつっこんでくるソ連軍がいい具合にシュミレートされています(何も考えずに突っ込むAIのおかげで)

しかしそのソ連側でプレイする場合、 そんなことはしないと思います。(する人もいるかもしれませんが)

これはシナリオの限界かもしれませんが、 ソ連軍をプレイする人は、先にドイツ軍でプレイしているはずですから、ドイツ軍の配置、戦力が分かってしまっています。
ドイツ軍にとっては移動のできない88mmしか戦車を防ぐ手段はありませんので、ソ連軍は152mm砲で初めからそこを砲撃し叩いておけばいいわけですし、 88mm砲の視界に入らないように移動をすればいいのです。

対人戦でこのシナリオをプレイするのならば、 ソ連軍の裏をかき88mmを馬車で移動させるという駆け引きがあって面白そうなのですが、ドイツ軍にはベテランの方限定になってきそうです。

ソ連軍でプレイすると、ほぼ100%勝てます。しかも26ターンの半分ぐらいで勝負がつきます。

なのでプレイバランスをよくしようと、 条件をつけるのはどうかとも考えました。

もし、ソ連軍でプレイしてみて、 もう少しプレイバランスをよくしたいと思った方は、

「152mm 砲の砲撃要請は10ターン以降」と

「T34 のC、D、E、F部隊は前進するとき、「Tilled Field」を横切る」

の2つを条件にして見てください。

「Tilled Field」は

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この地形です。 この地形を横切らずに迂回して南の道路から侵入すると、損害なしで侵入できてしまんですね。

あ、お時 間がきてしまいました。今回はこの辺で。
それでは・・・