Steel Panthers World War 2   JAPANESE  HQ

第5弾 159 「Defense of Luga」

第5弾です。

しかも今回はプレイ中の思いついたので書くことになりました。


<シナリオの背景>
月日:1941年7月19日
場所:レニングラードの南部、ルーガ
バトルタイプ:ドイツ(Defend) vs ソ連(Assault)

登場部隊
ドイツ:第469歩兵連隊の一部と第269師団砲兵の分遣隊
ソ連:ルガ戦隊の一部(第21機甲師団の残存、第16狙撃兵師団)

このシナリオはボードゲーム「SL(スコードリーダー)」の18番シナリオを元に作られています。

なので背景はもう少し詳しく分かりますので紹介しましょう。

1941年のドイツ軍のソ連侵攻で、ドイツ軍はソ連軍を大々的に包囲する作戦により戦車部隊はロシア奥深くまで進撃し、 危険なソ連軍戦車部隊を迂回していきました。

包囲されたソ連軍はしばしば包囲網を突破しようとドイツ軍に反撃をしましたが、 そのソ連軍を迎え撃つドイツ軍は戦車部隊ではなく、 歩兵部隊や対戦車部隊でありました。

このシナリオでは、 レニングラード進撃に対する西方の接近路を防衛する任務を任されたドイツ軍第269歩兵師団の一部がいるルーガの町を、 「ルーガ戦隊」と命名されたソ連軍の第21機甲師団の残存部隊と第16狙撃兵師団、第2義勇軍部隊が急襲し、 ドイツ軍の進撃を食い止めるというものです。

このシナリオの舞台となる「ルーガ」(LUGA)という町は、 レニングラードの南西に位置しルーガ川が流れ、現在の人口は4万人ほどの町です。

昔から鉄道の要所として知られ、 レニングラード包囲戦においてはドイツ軍と大激戦となり、1941年8月24日にドイツ軍はこの町を占領しました。

このシナリオは対人戦も可能ですが、 ソロプレイの場合はドイツ軍でプレイが推奨されています。


<ソ連軍の戦力>

ソロプレイをされる方にはネタばれになりますので詳しくは書きませんが、 ソ連軍は歩兵ではドイツ軍の3倍の部隊を有しています。

(元ネタの「SL」では2倍程度で す)

そして主役の戦車部隊は、T34/76(M1940)とKV-2が1輌づつ、T-28が2輌、 そのほかに9輌の軽戦車・装甲車を引き連れてきます。

KV-2はご存知のとおり、1941年の戦車の装甲としては化け物級ですし、 主砲の152mm砲は一撃で歩兵や対戦車砲を吹き飛ばす威力があります。

しかもこれだけではありません。

元ネタにはなかった82mm迫撃砲3門、120mm迫撃砲1門、それにI-16攻撃機が2機戦力に含まれており、 こららは初めから照準が定められています。

これらの元ネタにはない部隊は、作者が後からゲームバランスを考えて追加したものである気がしますが、 この迫撃砲と飛行機の追加はドイツ軍をかなり苦しませてくれます。

特に攻撃機はかなり運要素があると思います。

運が悪ければ貴重な50mmPAKがやられることもありますし、運がよければ無傷で済む場合もあります。

<ドイツ軍の戦力>

一方、ドイツ軍はと言うと、歩兵は第469歩兵連隊がわずか一個中隊だけです。
しかも各小隊の1分隊は戦車猟兵になっていますので、 対歩兵用ではありません。

また敵歩兵を足止めするMG部隊も1部隊しかいません。

元ネタではもう1部隊いるんですが・・

そんな弱小ドイツ軍の鍵を握るのは、 第269師団砲兵の2門の37mmPAKと2門の50mmPAKです。

この4門のPAKでルガの町を守りとおせるかが問題ですが。

幸いにも、37mmも50mmもどちらもAPCR弾(SABOT)を装備していて、 大体12へクス以内であればAPCR弾を撃つことができます。

(ただし、 砲弾の選択はAI任せのため、砲弾は装甲の薄い戦車に対してはAP弾を優先し、 APCR弾はT-34やKV-2に使用されます)

その他、20mmと37mmのAA(対空砲)があります。これは飛来するI-16を撃墜するものですが、 それだけではありません。

37mm対空砲はソ連軍の軽戦車ならば余裕で撃破することもできますし、 20mm対空砲は対歩兵にも非常に有効的です。

プレイ中、 攻撃により乗員が離脱したら根気よく抑圧を下げ、再び砲に移動させてあげましょう。大抵は復活します。


<撤退戦術>

プレイ形式が遭遇戦ではなくDelay(遅滞)戦やDefend(防衛)戦の場合、 守備側は指揮官であるプレーヤーの手腕に勝敗がかかってきます。

じわじわと追い詰められる戦いはプレイ中も精神的に耐え難いですがそれだけではありません。 勝ってもボロボロになった自軍の部隊を見ると素直に喜べない苦痛を味わいます。

それでも慣れたベテランプレーヤーになってくると遅滞戦や防衛戦の方が面白さが増してくるらしいです。

今回はその守備側の戦いである撤退戦術について考えてみましょう。

と、 ここまで書き終えて数週間が過ぎてしまいました。
(あまりに偉そうなことを書こうとしたせいか行き詰ってしまったのです)

なので撤退戦術についてはこのシナリオを参考に皆さんで応用していただくことにします。

<1ターン>

1 各部隊の射程距離を設定します。

まだ敵が見えてもないので慌ててする必要はありませんが、これは敵ターンに臨機射撃を勝手にして敵に見つかるのを防ぐためです。

前線で「距離○○まで絶対撃つな!」と言う指揮官になったような気がしますよね。

このターンでは歩兵の第1、 2火器をオフ、37mmPAKは砲もライフルもオフ、MG34もオフにしておいていいでしょう。

オンオフ

(↑直接火器をクリックすると、オンオフになります)

僕の場合、対戦車砲や対空砲の第2火器のライフルは常時オフにしています。

(対戦車砲は「Hidden Fire」がオンになっていれば、 砲を撃っても見つかりにくいですが、ライフルを撃つと見つかるような気がするため)

戦車猟兵は第2火器のSMGは射程距離が3へクスなのでオフにします。
これは対戦車地雷を使用する前に敵に発砲し見つかるのを防ぐためです。

MINE3

↑ 戦車猟兵の第1火器である「対戦車吸着地雷」(Panzer Hohlaung Mine 3)。かなり高確率で戦車を撃破できる。

A0司令部は交戦することはないので全てオフにします。

2 MGの役割

MGは歩兵の足止めをします。

と言っても、今回はわずか1部隊しかないので、 集中砲火を浴びせられればどうにもなりませんが、できるだけ歩兵の足を止めることを目的とします。

そのためソ連歩兵に損害を出すまで射撃をするのではなく、 威嚇射撃でも命中すれば抑圧は上がり移動力は落ちるので、自軍のターンでの攻撃ではなるべく多くの歩兵部隊に射撃を浴びせるようにします。

このシナリオはソ連軍の歩兵部隊を大量に街に侵入させると、 ドイツ軍の弱小戦力では到底太刀打ちできませんから、 出来るだけソ連歩兵の足を遅らせ時間を稼ぎます。

3 退却場所の設定

画面の右側にある操作ボタンの一番下に「Rally Hex」ボタンがあります。
これで各小隊ごとに退却時にどこに行くかを設定しておきます。

各小隊ごとか、全部隊一括かどちらかを選択できますが、各小隊ごとにします。

普段はこんな設定しないから大丈夫さという方もこのシナリオのようにマップの上下で戦闘が行われる場合は設定したほうが無難です。

さもないと、ドイツ軍は全て左(西)に向かって退却をしますので、 後退しながらソ連軍の餌食になっちまいます。

退却場所は退却するときに敵に見つからないで隠れられる地形や 建物の後ろなどがいいでしょう。

ただし、 必ずその場所に退却する保障はありません。

抑圧が極度にあがったり、 退却中に攻撃を受けると、その部隊は退却場所に退却できずにマップの左(西)を 目指し潰走していきます。

4 ファイナルフォーメーション

これは戦術として考えておかなければいけないことです。

formation

ドイツ軍の初期配置を見るとどうしようもないくらい絶望的です。
初めてこのシナリオをプレイしたときは冗談かと思ったくらいです。

元ネタのSLでは、プレーヤーが盤上に任意に配置(隠匿配置)することになっていますので、 シナリオ作者もあえて融通性を持たすためにこのような配置にしたのではないでしょうか。

ドイツ軍の貴重な歩兵3個小隊ですが、まずE小隊の位置が気になります。

ここは南北と東西に線路が通っており、この線路の小高い土手のせいで、線路の向こう側の全く視界が見えなく完全に孤立した集落です。また後退する建物もありません。 かと言って全滅するまで孤軍奮闘させ貴重な小隊を失うのはドイツ軍には痛すぎます。

撤退戦術の基本は、 まず兵力は絶対的に温存しつつ、出来るだけ時間を稼ぎながら、 守るべきVHを守っていくということです。攻撃は必要最小限に行うこと!

そう考えると、E小隊は早々と引き下げるのがベストな選択ではないかと僕は思いましたが皆さんはどうでしょうか・・

対人戦であれば、決断は簡単です。なぜならVHがあるこんな格好な場所は、 ほぼ確実に砲撃の的となり、集中砲火にさらされるので、初期配置ではここには塹壕がなければ部隊を配置することは危険すぎます。

このシナリオにもソ連軍には82mmが3門と120mmが1門あるので要注意です。

またこの位置からではE小隊の戦車猟兵は姿を隠せて戦車を仕留めることができるベストポジションがないのが気になります。

G小隊はさらに重要です。この小隊をやすやすと失うことはできません。この部隊にドイツ軍の戦線がかかっているようなものですから。ですので、 近距離以外の無駄な交戦はできるだけせず、 偵察任務(敵がどれだけ近づいたか)をさせながら、見つからないように、 そして砲撃を浴びないように移動する必要があります。

砲撃を浴びないように移動とは、 砲撃が来ることを予測してちょっとづつ部隊を移動させ砲撃から身を守ること。ベテランプレーヤーはそんなことしてきますねん。

そうしたとしても、 円内にある駅舎のような建物での 攻防は避けられません。ここをソ連軍に占領されると、ドイツ軍は崩壊してしまいます。

後方にいるF小隊は援軍として前進させます。

そのまま残って後方のVHを守るという手もありますが、そうなった場合、 E小隊もG小隊も壊滅している可能性が高く、 F小隊だけでは手広いVHは守れそうもありません。 なので線路沿いで待機させ、ここでソ連軍を待ち受けた方がいいと思います。

FORMATION2

E小隊は線路脇まで下げる、 F小隊は逆に線路脇まで上げる、各戦車猟兵は隣接するまで見つからず一撃で仕留められる道路脇に配置する。 (司令部は後方に下げます)

これがファイナルフォーメーションだ!!

なお、 上記の戦術等は、煙幕は一切使用しないでのプレイに基づいて書いたものです。もし煙 幕を使うとなれば、また違った戦術があると思われます。

<序盤>

ゲームが始まるとすぐに敵の攻撃機が2機、飛来してきます。

照準へクスは設定されていますが、 まだどの部隊も見つかっていないで狙いが定まっていないせいかどの部隊が攻撃されるかは運要素です(汗)

最悪は 50mmPAKがやられ乗員が離脱することです。

こうなるとあなたが平凡な指揮官では厳しいでしょう。

ソロプレイの場合、 できれば最前線の37mmPAKと50mmPAKで13輌の戦車のうち、半分は撃破したいですね。

<中盤〜終盤>

この頃になると、 前線の37mmと50mmはやられていることと思われます。
そうなると頼みの綱は後方に控える50mmPAKになってきますが、 その負担を減らすために真ん中にある37mmPAKをどこに移動させるかが終盤、 生き残って突破してくるソ連戦車を仕留める鍵になってくるでしょう。

37mmや50mmは装甲の硬いT34やKV-2にはAPCR(SABOT)弾を使用してくれますので問題なく撃破可能です。

また対空砲で軽戦車や歩兵を狙うこともお忘れなく。


<史実の結末>

各種の戦車に支援されたソ連軍だったが、 戦車部隊はバラバラな隊形で街まで前進してきたところをドイツ軍の対戦車砲により各個、次から次へと撃破されていった。

そしてその後、のそのそと進軍してきた歩兵部隊も、 少数のドイツ軍に撃退されてしまい、戦闘はドイツ軍の一方的な勝利となった。

もしソ連軍に指揮能力という重大な欠点がなかったのなら、このような結果にはなっていなかったことだろう。